夏越の大祓|心身を清め、新たな半年へ!~正しい参拝作法で清々しく~

広々とした砂利の境内にある、複数の木造社殿。緑の瓦屋根が特徴的で、手前では白い装束を身につけた二人の人物(神職または巫女)が、社殿に向かって儀式を行っている。周囲は豊かな木々に囲まれ、静かで神聖な雰囲気が漂う神社の様子。黒文字で「夏越しの大祓 日本の夏、心整える神事」と表示。 Lifestyle
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案内役マグねこ
案内役マグねこ

ごきげんよう✨ マグねこです🐾1 

2025年も半分が過ぎようとしていますね。日本では、この時期に夏越の大祓(なごしのおおはらえ)という伝統的な神事が行われるのをご存知でしょうか?

夏越の大祓は、1年のちょうど真ん中にあたる6月30日に、これまでの半年間で知らず知らずのうちに積み重なった心身の穢れ(けがれ)を祓い清め、残りの半年を健やかに過ごせるよう祈願する行事です。

大祓を行う理由

私たちの日常生活には、知らず知らずのうちに様々な穢れが付着すると考えられています。
例えば、病気や災難、心の乱れなどがこれにあたります。
これらをそのままにしておくと、運気が滞ったり、不調が続いたりすると信じられてきました。

そこで、全国の神社では、古くからこの大祓という神事を通じて、これらの穢れを祓い清めてきたのです。特に夏越の大祓は、これから迎える暑い夏を元気に乗り切るための大切な節目とされています。

夏越の大祓で行われること

夏越の大祓で最も有名なのは、茅の輪くぐり(ちのわくぐり)です。
多くの神社では、茅(ちがや)という草で作られた大きな輪が設置されます。
この茅の輪を「水無月の夏越の祓する人は千歳の命のぶというなり(みなづきの なごしのはらえ するひとは ちとせのいのち のぶというなり)と唱えながら8の字に3回くぐることで、心身が清められるとされています。

青い空と緑の木々を背景に、神社の拝殿の前に設置された巨大な茅の輪。拝殿は緑色の瓦屋根と朱色の柱が特徴で、茅の輪は太く立派な藁で編まれている。茅の輪の周りには白い紙垂(しで)が飾られ、神聖な雰囲気を醸し出している。右奥にはビルが見え、街中にある神社であることがわかる。
東京・赤坂日枝神社の茅の輪

また、人形(ヒトガタ)という人の形をした紙に自分の名前や年齢を書き、息を吹きかけて体に触れることで、自分の穢れを人形に移し、それを水に流して清めるという儀式も行われます

夏越の大祓(なごしのおおはらい)の儀式を説明する案内用紙と写真。左側には、氏名を書き息を吹きかけて穢れを移す「人形(ひとがた)」の用紙と使用方法が書かれており、中央には人の形に切り抜かれた人形(ひとがた)の例が写っている。右側には「茅の輪くぐり 神事風」と題された白黒写真が並び、神職が大祓の詞を奏上する様子や、茅の輪守り(お守り)の例が確認できる。
埼玉・大宮氷川神社で授与される人形(ひとがた)の用紙

夏越の大祓を体験する際の神社作法

せっかく神社を訪れるなら、正しい作法で参拝し、より清々しい気持ちで神様に感謝と祈りを捧げましょう。

晴れた日に、緑豊かな木々に囲まれた赤色の大きな鳥居が立つ神社の入口。鳥居の下には石畳の参道が奥へと続き、数名の参拝者が歩いている。鳥居の柱元には、黒い柵と赤色の木製の鳥居のような小さな柵が設置されている。
埼玉・大宮氷川神社の第三の鳥居

鳥居をくぐる前に一礼:神社の入り口である鳥居をくぐる前に、一度立ち止まって軽く頭を下げて一礼します。

参道の真ん中は避けて歩く:参道の真ん中は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様の通り道とされています。参拝者は左右どちらかに寄って歩きましょう。

手水舎(てみずや)で身を清める

  • 柄杓(ひしゃく)を右手で持ち、左手を清めます。
  • 次に柄杓を左手に持ち替え、右手を清めます。
  • 再び柄杓を右手に持ち替え、左手に水を受けて口をすすぎます(柄杓に直接口をつけないように注意)。
  • もう一度左手を清め、柄杓に残った水で柄杓の柄を洗い流し、元の場所に戻します。
緑豊かな木々に囲まれた神社の手水舎(ちょうずや)。赤色の屋根と柱を持つ建物の中に、石造りの水盤があり、柄杓(ひしゃく)が整然と並べられている。水盤の奥には作法を示すイラスト付きの案内板が置かれており、参拝者が手や口を清める場所であることがわかる。
参拝前に心身を清める、埼玉・大宮氷川神社の手水舎

茅の輪くぐり(設置されている場合): 茅の輪くぐりは、ただ輪をくぐるだけでなく、決められた順序と足運びで巡ることで、より丁寧に心身を清める意味合いがあります。

  • 茅の輪の前に立ち一礼 茅の輪の手前で立ち止まり、神様への敬意を込めて軽く一礼します。
  • 一巡目:左回り まず、左足から茅の輪をまたいでくぐり抜けます。この時、茅の輪は踏まないように注意しましょう。くぐり抜けたら、そのまま左手に沿って半周ほど進み、茅の輪の右側(くぐってきた入口から見て)に回ります。この際、「みなづきの なごしのはらえ するひとは ちとせのいのち のぶというなり」と心の中で唱え始めます。
  • 二巡目:右回り 茅の輪の右側から、今度は右足から茅の輪をまたいでくぐり抜けます。くぐり抜けたら、そのまま右手に沿って半周ほど進み、茅の輪の左側(くぐってきた入口から見て)に回ります。引き続き「みなづきの なごしのはらえ するひとは ちとせのいのち のぶというなり」と唱えます。
  • 三巡目:左回り 茅の輪の左側から、再び左足から茅の輪をまたいでくぐり抜けます。くぐり抜けたら、そのまま左手に沿って半周ほど進み、茅の輪の右側(くぐってきた入口から見て)に回ります。「みなづきの なごしのはらえ するひとは ちとせのいのち のぶというなり」と唱え終えます。
  • 最後に本殿へ 三巡くぐり終えたら、一礼してそのまま神社の拝殿(本殿)へ進み、通常の作法で参拝します。
広々とした砂利の広場越しに、伝統的な瓦屋根と木造の美しい社殿(本殿または拝殿)が写っている。社殿の手前には賽銭箱のようなものが複数置かれ、右側には白い衣をまとった神職らしき人物が見える。背景には豊かな緑の木々が広がっている。
埼玉・大宮氷川神社の拝殿

拝殿での参拝

  • 賽銭箱にお賽銭を静かに入れます。
  • 二拝二拍手一拝(にはいにはくしゅいっぱい)を行います。
    • 深くおじぎを2回します。
    • 胸の高さで両手を合わせ、右手を少し手前にずらして2回柏手(かしわで)を打ちます。
    • 柏手を打った後、両手を揃えて心の中で祈りを捧げます。
    • 最後に深くおじぎを1回します。

帰りも鳥居で一礼:参拝を終え、鳥居をくぐって神社の外に出る際も、振り返って社殿に向かって一礼します。

この時期に味わいたい伝統の味「水無月」


夏越の大祓の時期には、もう一つ忘れてはならない日本の伝統があります。
それは、この日に食べる「水無月」(みなづき)という和菓子です。
特に京都で古くから親しまれ、夏越の大祓の行事と深く結びついています。

白くて三角形のういろうの上に、つやつやとした小豆がびっしりと敷き詰められた和菓子「水無月」のクローズアップ。奥にもう一つ同じ水無月がぼんやりと写っており、全体的に明るく清潔感のある背景で、和菓子の美味しそうな質感が際立っている。
厄除けの願いが込められた、夏越の大祓に欠かせない伝統の和菓子

水無月は、白い(または抹茶や黒糖などの色付きの)ういろうを土台とし、その上に甘く煮た小豆が散りばめられた、三角形の形が特徴の和菓子です。もちもちとしたういろうの食感と、大粒の小豆の優しい甘みが絶妙に調和し、冷やして食べると一層涼しさが感じられます。

なぜこの時期に水無月を食べるのでしょうか?

  • 氷室の氷2の代わり: 平安時代、宮中では6月1日に、冬に蓄えられた貴重な氷を食べて暑気払いをする習慣がありました。庶民は高価で手に入りにくい氷の代わりに、その形を模したお菓子を食べることで、無病息災を願ったのが始まりとされています。三角形の形は、この氷のかけらを表していると言われています。
  • 小豆に込められた願い: 上にのせられた小豆には、古くから邪気払いや悪魔祓いの力があると信じられていました。「まめ(豆)」が「魔滅(まめ)」に通じるという語呂合わせもあり、厄除けの意味合いで用いられています。

京都では「水無月を食べないと夏が来ない!」と言われるほど、夏越の大祓に欠かせない行事食として根付いています。
6月に入ると、多くの和菓子店やスーパーマーケットの店頭に水無月が並び始めるので、ぜひ探してみてくださいね。


身近な神社で体験してみよう!

夏越の大祓は、日本全国の多くの神社で行われます。
お近くの神社でも、茅の輪が設置されていたり、人形が用意されているかもしれません。

個人的によく参拝する神社の茅の輪設置期間をご紹介します。

おねこ
おねこ

私も毎年、氏神神社3で半年間を平和に無事に過ごせたことへの感謝を伝えています。茅の輪をくぐって、人形に息を吹きかける作法は静かに自分と向き合える大切な時間です。最後に鳥居に一礼すると気持ち晴れやか、これからの半年を前向きに捉えることができます。


最後に

夏越の大祓は、単なる伝統行事ではなく、私たち自身の心と体を顧み、新たな気持ちで次の季節を迎えるための大切な機会です。
日々の忙しさの中で溜まった疲れやストレスを、この機会にリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。

大祓の時期を過ぎてしまっても

夏越の大祓は6月30日の行事ですが、たとえその時期を過ぎてしまっても、心身を清め、自分と向き合う機会は一年を通してたくさんあります。

  • 日々の感謝を伝える 氏神様や身近な神社への参拝は、特別な日でなくても心を落ち着かせ、日常の感謝を伝える大切な時間です。静かに手を合わせるだけでも、心が整います。
  • 深呼吸や瞑想 短い時間でも、意識的に深い呼吸を繰り返したり、静かに瞑想したりすることで、日々の雑念から離れ、心のリセットができます。
  • 日記やジャーナリング その日の出来事や感じたことを書き出すことで、自分の内面と向き合い、感情の整理に繋がります。
  • 自然に触れる時間 散歩に出かけたり、公園で過ごしたり、自然の中に身を置くことで、心身がリフレッシュされ、新たな活力が生まれます。
  • 部屋の掃除や整理整頓 物理的な空間を清めることは、心の状態にも良い影響を与えます。不要なものを手放すことで、心の中も軽くなります。
案内役マグねこ
案内役マグねこ

最後までお読みいただきましてありがとうございましたニャッ👅

今回ご紹介した「自分と向き合う時間」は、特別な日だけでなく、日々の生活に取り入れることで、より健やかで前向きな半年を過ごすための礎(いしずえ)となります。夏越の大祓で得られるような清々しい気持ちを、日常の中にも見つけていけるといいですね。

さらに詳しく「自分と向き合う時間」の作り方を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。


  1. ブログ筆者であるおねことCanvaとの初めての共同作業で誕生した、ブログ案内役です。
    Canvaに「マグリット風で高貴な猫」をリクエストして生まれたので「マグねこ」と名付けました。 ↩︎
  2. 氷室(ひむろ)とは、電気がない時代に、冬の間にできた天然の氷を夏まで溶かさずに保存するための特別な場所(穴蔵など)です。
    氷室の氷とは、この氷室に蓄えられた氷のことで、かつては天皇や貴族などごく一部の特権階級しか口にできない、大変貴重な夏の贅沢品であり、無病息災を願う意味も込められていました。 ↩︎
  3. 氏神神社(うじがみじんじゃ)とは、その地域や住んでいる土地を守る神様(氏神様)をお祀りしている神社のことです。 ↩︎

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